我孫子市国際交流協会及び我孫子市主催の国際交流スピーチ大会が3年ぶりに開催されました。(NO.22-8)
日 時:2022年9月25日(日)13:00~15:30
場 所:あびこ市民プラザ 多目的ホール
出場者:英語の部4名、日本語の部4名、レシテーション1名 (計9名)
来場者:約80名
司会者:足達法子さん(AIRA総務部会長)、邢 凱鈞xing kai jun(中央学院大学2年)
AIRAでは、市民に国際的な視野を持つ青少年の育成並びに日本語及び英語の語学力向上と国際交流を目的に、国際交流スピーチ大会を行っています。2020年春からの新型コロナウイルス感染拡大により2020、2021年度は中止になり、今年は3年ぶりの開催となりました。
コロナ禍で参加対象者である学生は、学校行事などがまだ平年化されていない状況下で、開催に当たっては参加者数が読めないところが有りました。
発表が行われる演台の前にはアクリル板を設置し、発表者ごとにマイク、アクリル板及び演台を消毒する等、十分なコロナ対策を施して開催しました。
スピーチは、日本人は英語で、日本語を母語としない外国人は日本語で発表します。語学の能力より発表の内容を重視して審査が行われます。今年度は世界の人形館長髙 康治氏から寄付があり、自身が「ワールドトラベラー」として世界275カ国・地域を訪れた経験から、日本人の国際化や青少年の育成に貢献するために海外で学ぶ研修費用の一部を支援する「世界の人形館賞」が設けられました。
大会は、足達さんと邢さんの司会進行で、AIRA北嶋扶美子会長の挨拶と星野順一郎我孫子市長の挨拶に続いて始まりました。
最初に小学生によるレシテーションとして、夏休みのボランティア体験から学んだことについての発表が有りました。
続いて、英語の部から中学生2名と社会人2名の方が発表を行いました。中学生の発表は、 “基準とは?”の素朴な疑問についてと海外旅行から学んだ“困っている人を助けたい、よりよい世界にしたい”という内容でした。社会人の発表は、海外勤務や海外での活動から学んだ“外国で生き延びる3つの要素”についてとブラジル移住の親族から学んだ“日系ブラジル人の誇り”についてでした。
日本語の部では、大学生1名と社会人3名の方が発表しました。大学生の発表は、対面授業が始まり直接コミュニケーションが図れるようになったことで気付いた”異文化交流の懸け橋になりたい“と日本の武士道の義と勇から学んだ”不安と混乱した時代を生き抜く力“についてでした。社会人の発表は、来日して日本人の家族等の暖かさ等で”幸せな生活“を得たこと、ジム通いをとおして”日本語の上達、健康な体、友達づくり“を得たことについての発表でした。
全ての発表が終了し、別室にて審査員による審査が行われました。
審査中に、野口 昇氏によるミニ講演「UNESCOと歩いた50年~国連機関で働く“論理”と”人情“~」がオンライン(ZOOM使用)で行われました。
野口 昇氏は、(公社)日本ユネスコ協会連盟・顧問・前理事長でユネスコ本部、ユネスコ北京事務所長等を歴任されました。その経験を踏まえ、体験を織り交ぜながら話されました。
1 UNESCOについて
日本とユネスコとの関係は深く、敗戦後日本が国際社会へ復帰したのは1951年7月のユネスコに加盟(5年後の1956年12月に国連に加盟)であったこと、ユネスコ本部中庭には日本政府が寄贈した日本庭園が設けられていること、国際連盟時代のユネスコの前身「国際知的協力委員会(ICIC:International Committee on Intellectual Cooperation)」は1922年国際連盟の下に設立され、当時の国際連盟事務局次長 新渡戸稲造氏がその事務を担当していたこと、ユネスコは教育・科学と共に文化を扱う他の国連機関にない特徴を持っていること など。
2 UNESCOでのエピソード
ユネスコでの思い出として、イスラエルが国交のないパレスチナの学生を留学生として受け入れに関わったこと(1996年頃)、北京事務所長の時期にモンゴルのユネスコ事業としてカラコルム遺跡の調査・保護事業に日本の資金提供により進められたこと、ユネスコ事業として支援した北朝鮮・高句麗壁画古墳の保全活動が行われたこと、中国・西安の大明宮含殿基壇の保存・復元事業を日中合作で行う貴重な経験をしたこと 等を話されました。
3 国連機関で働く論理と人情
国連機関で働く上で大切なことは、言葉の論理性、人としての誠実さ、思いやりと共に日本人らしさ(気配り、優しさ、チームワーク)を挙げていました。
4 グローバル人材の資質
グローバルに活躍するには、英語が出来ることより、他人から信頼される人格を持つ(日本の良さ・強みを知り、異なる文化を認め合い、多様性を尊重する)こと。故コフィ・アナン元事務総長はガーナ共和国出身で、国連で活躍するのは英米以外の人でも可能である、と若者への期待を込めた言葉を述べました。
講演は、野口氏の体験を通した内容で、ユネスコ等の国際機関が身近なものに感じられ、少し努力すれば届く働き甲斐のあるところだと、心に訴えることが多い内容でした。
15時から表彰式が行われました。受賞者は表のとおりです。
受賞者には、それぞれ賞状と副賞が贈られました。
なお、「世界の人形館賞」は、楊井 こころさんが選ばれ、髙 康治氏(世界の人形館長)から今後の活躍への期待の言葉とともに目録が贈られました。
また、レシテーションを行った倉田 優子さん(小学5年生)にはプレゼントが贈られました。
<第22回 国際交流スピーチ大会受賞者>
我孫子市国際交流協会会長賞 | 楊井 こころ | 中学3年生 | 『 Where do standards come from? 』 |
我孫子市長賞 | 徐 文旭 | 大学2年生 | 『 中日友好の架け橋として 』 |
我孫子市教育長賞 | 濱井 賢治 | 中学2年生 | 『 Lets make a better world』 |
中央学院大学学長賞 | グルルフソル・サファロヴァ | 社会人 | 『 日本での生活 』 |
川村学園女子大学学長賞 | 田中 靖之 | 社会人 | 『 How to survive in foreign countries 』 |
表彰式後、丸教育長から全体の講評が行われました。
スピーチ大会は、早坂 満実行委員長(AIRAボランティア部会長)の閉会の辞で終了しました。
なお、終了後のティーパーティーはコロナ過であり行いませんでした。
審査員:
北嶋扶美子(AIRA会長)
青木 章(我孫子市副市長)
丸 智彦(我孫子市教育長)
大村芳昭(中央学院大学学長)
ウイリアム・キスチャック(川村学園女子大学国際英語学科教授)
ジョン・バウマン(中央学院大学英語講師)