AIRAでは、ボランティア講師が日本語教室(火曜日・土曜日)で外国人に日本語を教えています。外国人のニーズにあったより効果的な日本語教育を進めるために、レベルアップ講座を開催しました。
講師として、AIRAの日本語教室で学んだ人たちや我孫子市内で生活している外国人をゲストに招き、どの様に日本語を学び仕事や日常の生活に活かしているか、を聞きました。 (No.16-25)
日 時:2016年12月10日(土) 14:00~16:00
場 所:あびこ市民プラザ ホール
ゲスト講師:エナ・サノ(佐野)さん(エルサルバトル出身)、小沢マリアテレサさん(コロンビア出身)、
木田ワサナ(タイ出身)、張 華(中国出身)、ヨーグ・ロス(ドイツ出身) 以上5名
参加者:へさきボランティア部会長、日本語ボランティア講師、日本語教室受講生 他 計42人
(内、外国人8人)
司会進行は、日本語ボランティア講師の小原さんと山田さんです。へさきボランティア部会長の開会のあいさつの後、司会進行役からあらかじめ他の日本語ボランティア講師や日本語教室の受講生から集めた事項を質問し、ゲスト講師から話してもらいました。
先ず、各ゲスト講師の自己紹介を行いました。来日理由、動機や日本での生活環境も異なります。また、在日期間が一人(3.5年)を除き、17~39年で、現在は流ちょうに日本語を話していますが、来日当時は、日本語はわからず、日本語を学習するスタイルはそれぞれ異なっていた様です。
応答の内容(趣旨)は、つぎのとおりです。
《日本語学習について》
Q1:日本語をどのように勉強したか?
1-1 来日した当時は日本語教室等がなかったのでTVを見て学んだ。
1-2 夫にノートにフレーズを書いてもらい覚えた。
1-3 わからない言葉を辞書で調べて覚えた。
1-4 日本語教室で学んだ 等
Q2:効果的だった日本語学習は?
2-1 AIRA日本語教室での講師と受講生の人数バランスが適切で話す機会が多かったこと
2-2 話し言葉と書き言葉(教科書)が異なるので、友人をつくったり、周りの人と話しをして間違いを直してもらったこと
2-3 発音練習に重点を置いたこと
Q3:日本語学習で一番難しかったこと(文字・発音・文法・会話・・・・)は?
3-1 漢字(漢字表記しかなく読めなかったのでドッグフードを買って食べたこともある)
3-2 接続詞が使えないので理解されないことがある
3-3 漢字の音読み・訓読み
3-4 カタカナで特に外来語のハイフォンの有無など
Q4:習った授業でよかった授業・教え方は?
4-1 聞いたことを繰り返し話したこと
4-2 講師から出された言葉で例文をつくり覚えたこと
4-3 母語に翻訳された小説を日本語で読んでレベルを上げたこと
Q5:AIRA日本語教室で印象に残った授業は?
5-1 生活上の事を講師に質問し聞けたことは良かった。
5-2 イベントで心配なく物を売った経験で自信が持てたこと
5-3 ロールプレイをして生きた日本語を覚えたこと
5-4 間違った時に直してくれたこと
Q6:これから日本語を学ぶ人へ
6-1 (ひらがなで書かれている)昔話の本を読んで日本語に慣れたのは良かった。
6-2 人との会話を練習の場として口を慣らすことはいい。
6-3 好きな作家の本を読んで学ぶとレベルアップになる。
6-4 TVの字幕を見て学ぶこと
6-5 勇気を出して日本語を話し、日本語に慣れること
《日本での生活で、日本語を使ってた体験から》
Q1:日本語が分からなくて困ったこと、意味が間違っていたこと、役立ってうれしかったことは?
【喜び】
1-1 日本語ができるようになり通訳をしたり、外国語講座の講師となり収入を得たこと
1-2 ボランティアをして役立ったこと
1-3 好きな役者・歌手等の番組が見れ、肉声が聞けて嬉しかったこと
【困惑】
1-4 バザーで物を売った時、「お」を使いたくて「“お”袋入れますか?」と言って、笑われたこと
1-5 病院で症状を伝えられなかったこと
1-6 「トラベル・トラブル」「病院・美容院」「日帰り旅行・日替わり旅行」など の使い方
1-7 美容院で言葉の意味が分からず、相手の言うなりに追加し、料金が加算されたこと、
1-8 主語が省かれ「戻ってきた、誰が」とわからないことがある
1-9 「食べる」等では語尾の上がり・下がりにより質問か否か異なる、
Q2:話し言葉で聞き取りにくい・意味が分かりづらい表現は?
2-1 方 言(京都・関西・・)
2-2 発 音(ヨッカ4日・ヨウカ8日、橋・箸、鼻・花など)、
2-3 前置詞(を・が・へ・で・に・・・)が使えなく、理解されないことがある。
2-4 同一内容の異なる表現を言われ(年齢・お年、お住まい・ご住所、最寄り駅・近い駅、二人の関係・二人の間柄・・・)、困惑する。
2-5 あいまいな表現(Yes Noがハッキリしない)、目上の人への表現
その後、質疑に入り、日本人の「建前と本音」の違い、言葉は話せても理解はできていないことがある、ボランティアの人は良く聞いてくれるが、一般的にはそうでない、などゲスト講師から話がありました。
山田さんの閉会の辞で、会は終了しました。
今回の「講座」は、ゲスト講師の方々から、日本に来て、日本での生活に馴染み、慣れるまでの苦労や大変さを聞いて、日本語を教える方のこれからの教え方に参考になる他、それ以外の国際交流に携わる人にとっても、「外国人が何に困り、何をしてもらいたいか」などを考える上で大いに参考となるものでした。