第17回 国際交流スピーチ大会が開催されました
場所:あびこ市民プラザ ホール
司会:石原幸司さん、ホランド・セーラさん(英国人)
我孫子市国際交流協会主催の「第17回国際交流スピーチ大会」が開催されました。 (No.15-10)
今年の大会は、我孫子市の市制45周年記念とともに、戦後70年・平和都市宣言30年の記念事業として実施され、スピーチの内容に「平和」を含んだものとなりました。大会には、市内の中学生4名、大学生4名、社会人3名の合計11名の方から応募がありました。
スピーチは、英語による発表と日本語による発表に分かれ、審査員7名の審査により選ぶー今年は国際平和特別賞を加えー6つの各賞、会場来所者が審査し投票により選ぶ賞及び努力賞が授与されます。今年は英語の部5名、日本語の部6名により行われました。
石原幸司さんとホランド・セーラ(英国人)の司会で開会し、審査員7名の紹介がありました。AIRA菅野哲哉会長より「今年の大会は戦後70年・平和都市宣言30年の記念事業として実施され、記憶に残る大会です」との挨拶がありました。
続いて、我孫子市青木章副市長より「我孫子市では、今年は節目の年として毎年派遣している広島に、例年の倍の24名の中学生を派遣するなど、様々な平和に関する催しを実施している。これに呼応してスピーチ大会に“平和”を盛り込み、国際平和特別賞が設けられた。」とAIRAへの謝辞を含めた挨拶がありました。
スピーチは、英語の部から始まり、5名の方が発表し、続いて日本語の部で6名の方の発表がありました。 発表者は始まる前から自席で緊張した面持ちでしたが、壇上に立てば重圧も感じられない様子でスピーチされていました。 ※スピーチの内容等は後述
11名の発表終了後、審査員は審査室に入り、また会場来場者からの「会場審査用紙」が回収され、審査が始まりました。
審査結果と講演の始まる間、AIRA会員の倉田倫子さんから「AIRAの国際交流」と題し、今年6~7月にかけて我孫子市に来日した北アリゾナ大学生の我孫子市内での交流―中央学院大学生との交流や市民家庭のホームスティした時の交流状況等―について紹介がありました。北アリゾナ大学生は来年以降も引き続き来日し交流が深められる予定で、我孫子市内での国際交流にひとかどの貢献をすることが期待されます。
15時からの講演会では、被爆二世写真家の宮角孝雄さんによる「写真と平和」の題で講演が行われました。この講演は、「戦後70年・平和都市宣言30年の記念事業」の一環として行なわれたもので、宮角孝雄さんとは我孫子市内の中学生が訪れた広島で知り合った縁から交流が始まったものです。
講演では、「原爆について」では、時に広島弁を交えて語られました。父母、祖父、家族が被爆された時の様子です。父親は、広島駅で被爆し駅舎の柱の5寸釘が顔に刺さり動けないのを韓国の青年に抜いてもらい病院に運ばれ助かったこと。母親は、出勤途上の満員電車の人ごみの中で周囲の人の中で被爆し一命は取り留めたが、その時の体験がトラウマになり雷、爆竹など大きな音がすると半狂乱になり、家ではストロボ、花火は禁止に。30代に甲状腺を摘出し入退院を繰り返すなど、病弱な一生だったこと。 被爆された方はマイナスのイメージをもたれ、原爆の話はしなかった。母親も被爆時の怖さがあり思い出したくないと言っていた、とのことです。
次に、「写真について」では、年少の頃から写真への興味があった宮角さんは、1990年頃から被爆者が原爆について話すようになり、被爆二世としての衝動にかられ2000年1月1日朝、写真を撮ろうと原爆ドーム前に行った。その時、外国人グループが原爆ドーム前に来て、その中のイタリア人カップルがドーム前で恋の告白とキスをしている場面に遭遇し撮影した。この原爆ドーム前の写真から強い平和へのイメージを感じ、これからの日本の平和のシンボルになると、「以後毎年8月6日広島原爆ドーム、8月9日長崎爆心公園、平和記念公園、8月15日終戦記念日にそれぞれ訪れて、撮影し発表するようになった」と。
原爆投下による被爆者に与えた影響は、言葉では表せきれないもので、悲惨な惨状は体験した人、体験した人から受け継いだ人しか伝えられないのか・・・・と思わせるものでした。 隣のギャラリーで開催している「宮角孝雄写真展“GROUND ZERO 平和の祈り 2015”」では、原爆ドーム前等の写真が展示してありますが、全て「白黒」写真です。白黒写真から、その被写体から背景や想い等感じとってほしい、想像力を広げてほしい、との思いがある様に感じました。
講演会終了後、表彰式が行われました。審査結果等は次のとおりです。
1 AIRA会長賞・・・・ 簡宜 婷 Jian yi tingさん(中央学院大学4年)、題「平和とは 幸せパズルを作り上げることだ!」
内容は、「戦争経験者からの話や祭での子ども達との出会いから平和を考え、平和とは生活の中の一つ一つを組合せ、幸せパズルを作り上げることと思う。」
AIRA菅野哲哉会長のコメント・・・ 柏まつりや日常生活をとおして感じた「平和だからできる」との思いから、平和とは 幸せパズルを作り上げることとの着想が評価できる。
2 市長賞・・・・井出杏菜さん(久寺家中学2年)、題「Be open-minded and make close friends」
内容は、「南フランスでの生活をとおし、生活様式、文化、人種、宗教、国籍が違っても、自分の意見をしっかり持ち話し合えば相手も受け入れてくれた、と心を開いて対話することの大切さを感じた。」
我孫子市青木 章副市長のコメント・・・皆と同じ事が安全だとの今の若者の風潮下で、南フランスの生活をとおして、自分の考えを持ってないと人とは分かり合えないことを体験から感じたことは同調できる。
3 教育長賞・・・・新井雅樹さん(我孫子中学3年)、題「Folding my future」
内容は、「正確な折り紙折りから、将来の天然資源に気を配ったり、省資源化に思いをはせる。」
倉部俊治教育長のコメント・・・自分の主張を力強く訴えたことは評価できる。折り紙という日本的テーマで国際交流とはつながりが少ないが、日本の伝統、文化を核として交流することは国際交流につながる。
4 中央学院大学学長賞・・・・吉成 汀さん(川村学園女子大学4年)、題「私のすばらしい体験」 (My Wonderful Experiences)
内容は、「1年間にわたるイギリス留学先でのホームステイ家族との思い出やヨーロッパ8カ国を旅して出会った人との体験から得たもの。」
中央学院大学佐藤英明学長のコメント・・・美味しくないと言われているブリティッシフード、美味しいと感じたのは、イギリスのホストファミリーが朝から準備して作ったものに、感謝を込めて食べたところにその美味しさの源がある。また、クリスマスの時期に訪問したドイツでの交流等、平和とはパズルで作り上げられたものと感じさせられた内容だった。
5 川村学園女子大学学長賞・・・・Parul Yadav パルル ヤダヴさん(社会人)、題「Japan-from the eye of a foreigner」 (がいこくじんの目からみた日本)
内容は、「日本人のお辞儀や思いやりの可愛さ、ボランティア活動などの素晴らしさ。生活上使う英語、しかし英語を教える教師はネイティブが優先されている。日本語を上手になり可愛い英語教師になりたい。」
川村学園女子大学ウイリアム・キスチャック准教授のコメント・・・外国人が日本に来て感じたことが素直に表現されており評価できる。また教師にネイティブスピーカーが優先されているが、私は学生に自分で自分のことを表現することの大切さを伝えている。
6 国際平和特別賞・・・・菅野 麗さん(湖北台中学2年)、題「広島に行って感じたこと」
内容は、「今年8月に派遣された広島で平和について、被爆者が二度と原爆を使用されないことを願っていることや原爆の悲惨さを学んだ。これから若い世代が平和な世界をつくって行かなければならない。」
我孫子市青木 章副市長のコメント・・・広島で学んだことをしっかりと話された。特に若い世代が被爆者から直接聞ける最後の世代で、次世代につなげる役割がある、これが平和につながる、という事が印象に残った。
7 会場審査員賞・・・・張 春玲 Zhang chun lingさん(社会人)、題「私の日本語を学ぶ道」
内容は、「覚えては忘れる日本語、どうして!の反省から、単語の発音を一つ一つ聞き取り繰り返し確実に覚えるなど、一歩一歩確実に進む大事さに気付いた。」
我孫子市ディラン・スミスALT英語講師のコメント・・・単語の発音を繰り返す、覚えては忘れることに、少しでも前に進め姿勢は素晴らしい事です。
8 努力賞
・鈴木ありす さん(久寺家中学1年)、題「国際交流について」
・徐 天麒 xu tian qiさん(中央学院大学2年)、題「戦争と平和」
・PHYO THIRI KYAWピョー ティ チョーさん(中央学院大学3年)、題「日本を通してみる 平和な社会について」
・久保テレシータ マイリーナさん(社会人)、題「日本での生活から見えた平和について」
授与後、倉部俊治教育長より本日の発表全体にわたり、次のような総評がありました。
「スピーチは自分の考え、主張をいかに相手に伝えるかで、コミュニケーションのツールとして言葉がある。言葉は言霊(ことだま)であり、魂がこもっているもの。 今回、広島に派遣された生徒が平和の問題を身近な問題からスタートして周りに広げる、自分たちがやるという思いを語っていたスピーチがあった。是非他の人に伝えて行ってほしい。」
※審査員の方々
AIRA会長:菅野哲哉、 我孫子市副市長:青木 章、我孫子市教育長:倉部俊治
中央学院大学学長:佐藤英明、川村学園女子大学:ウイリアム・キスチャック准教授
中央学院大学英語講師:ジョン・バウマン、我孫子市ALT英語講師:ディラン・スミス
今年は平和を含んだ内容であることから、出場者には、世界272以上の紛争地等の国・地域を訪れ、世界の平和を語り、ワールド・トラベラーとして著作も多い「高 康治」さんから「トラベル・イズ・トラブル」の本の提供があり、出場者に進呈しました。高康治さん、ありがとうございました。
表彰式の後、中村実行委員長の閉会の辞があり、第17回国際交流スピーチ大会は終わりました。
引続き、同会場でテーパーティが行われました。邢燕xing yanさんの司会により、佐藤中央学院大学学長の乾杯でパーティが始まりました。会場内では、発表を終えた各出場者が重圧から解放され、リラックスした明るい顔で友達などと話していました。講演者の宮角孝雄さん夫婦も加わり、和やかな雰囲気でした。中には、宮角さんに撮影を頼んだ?出場者もいて、いい思い出になったことでしょう。