今夏開催が予定されている「東京2020オリンピック」に、スロベニア共和国の代表団が国内で事前キャンプ地を探していました。我孫子市は県からの連絡を受けて、事前キャンプを受け入れました。
スロベニアオリンピック委員会と我孫子市との事前キャンプに関する覚書締結式に、AIRAは通訳を派遣しました。(№21-5)
日 時:2021年5月24日(月) 10:00~12:10
場 所:我孫子市役所(市長室・会議室)、嘉納治五郎別荘跡、市民体育館(武道場)
派遣通訳:濱 理恵、大﨑 博
コロナ禍で東京オリンピックの事前キャンプの中止が相次ぐ中で、我孫子市は地元や医師会等の協力を得て、国の「参加選手ら向けの新型コロナウイルス対策指針」に沿った対策を取ることで事前キャンプを受け入れました。
スロベニア共和国から事前キャンプに、柔道、空手、テコンドの選手・スタッフ計9名が来日します。7月13日~7月30日の間、市内のホテルに宿泊して市民体育館(武道場)を練習会場として利用します。
覚書締結式には、スロベニア共和国からアンナ・ポラック・ペトリッチ Ana POLAK PETRIČ駐日大使、千葉県スポーツコンシェルジュを所管する伊藤稔ちば国際コンベンションビューロ代表理事、星野順一郎市長、青木章副市長及び丸智彦(ノリヒコ)教育長が出席されました。
・表敬訪問
覚書締結式に先立ち、ペトリッチ大使は市長を表敬訪問されました。市長は嘉納治五郎の書「擇道竭力」(たくどうけつりょく=道を選んだら力を出し尽くす)を紹介し、嘉納治五郎と我孫子との係わりを説明しました。また、前回2016年のリオデジャネイロオリンピック開催前にキューバの女子柔道選手一行が我孫子市を訪れ、オリンピックで好成績を収めたことを紹介し、スロベニア選手の活躍を期待する旨述べました。
ペトリッチ大使はコロナ禍での事前キャンプ地として受け入れたことに感謝の言葉を述べました。歓談ではコロナウイルスの感染状況やワクチン接種に関する我孫子市の状況などの話題が和やかな雰囲気で話されました。
AIRA通訳の濱さん、大﨑さんは、手分けして星野市長の話を英訳しました。
ペトリッチ大使は英語で話され、大使館員が日本語に通訳されました。大使は段落ごとに言葉を切って話され、大使館員は段落ごとに日本語に通訳していました。
・覚書締結式
覚書締結式は、報道機関が多数取材に来ている中で行われ、星野市長とペトリッチ大使の挨拶に続き覚書の署名が行われました。
星野市長は挨拶の中で、嘉納治五郎の別荘跡地の銅像や近くの市立我孫子第一小学校にある師範の書「力必達」(つとむればかならずたっす)を紹介しました。
・質疑応答
覚書署名と記念撮影後、報道機関との質疑応答がありました。
五輪開催中止の声が過半数を占めている現状での五輪開催について事前キャンプで期待する事についての質問に対し、ペトリッチ大使は、困難な状況の中で事前キャンプを受け入れたことに謝意を表し、選手等は出国前のPCR検査及び期間中毎日の検査を行うなどの安全対策を講ずると述べていました。
また、スロベニアでの我孫子市の知名度について問われると、大使は日本人がスロベニアを知らない様に大多数の国民は知らない。しかし、スロベニアでも柔道をやっている人は多く嘉納治五郎の名前は知っている。コロナ禍で歓迎されていることをテレビ等でPRし我孫子市を紹介したい、と率直に考えを述べていました。また、日本とスロベニアの共通点として①家の中では靴を履かない ②ソバ好き ③自然が美しい と日本との友好ぶりを表していました。
今後のスロベニアとの交流についての質問に対して、星野市長は事前キャンプ中の交流は禁止されているので、試合終了後帰国前に半日でも子ども達との交流の場が持てないかを検討する、と述べました。
濱さん、大﨑さんは緊張することなく、星野市長の挨拶及びその後の質疑応答を通訳していました。嘉納治師範の書の英訳での説明は難しいですが、2名の通訳は事前に手分けして調べてあったので、分かりやすく通訳していました。
・視察
締結式後、ペトリッチ大使は我孫子市職員の案内で嘉納治五郎別荘跡及び練習会場の市民体育館を視察しました。
濱さん・大﨑さんは視察現場に向かう途中などに、大使に手賀沼や我孫子に関することを説明されていました。
今回の通訳を行うにあたり、濱さん、大﨑さんは事前の準備に苦労されました。事前に入手した市長挨拶や記者の質問など、直前まで修正がありました、しかし、嘉納治五郎に関する事項も含めて相互に協力し合い連携を取りながら当日に臨んでいたので、適切な通訳ができました。